NO.44 バレンタイン
「バレンタイン」まで 2週間。
青春学園高等部 男子テニス部のレギュラーを 彼氏に持つ女の子にとって
2月14日は 試練の日だ。
他の女生徒に睨まれたくなかったら ここは大人になるしかない。
自分だけのプレゼントを受け取って欲しいなんて 思ってはいけない。
彼氏が 他の女の子から 本命としか見えないような チョコの包みを渡されても
微笑んで 見ていなければならないのだ。
それは 自分以外には 決して許さない 彼氏の心を手に入れた代償かもしれない。
それでも 自分だってやっぱりプレゼントをしたいわけで
かといって みんなと同じものはイヤだと考えるのも 彼氏が貰う数が多ければ多いほど
当然のように浮かぶことだ。
自分を特別に見て欲しい・・・と考えれば どこかで彼女として 他の女の子と少しでも
差をつけたいと考えるのは 自然なこと。
ここに その悩みで頭を抱える美少女が3人。
それぞれに 校内1をうたわれる彼氏を持つ面々だ。
1人は そのテニスの才能と個性派揃いの青春学園高等部 男テニにあって
皆から尊敬と畏怖を勝ち取っている 部長 手塚国光の幼馴染の恋人。
彼女は 新聞部であるがゆえに 男テニ広報担当でもある。
1人は 優しい笑顔と真摯な態度で 女生徒人気は1番
テニスの天才と呼ばれて久しい不二周助の許嫁。
もう1人は 切れる頭脳とデータ収集で
成績もテニスも独自のスタイルを極めている乾貞治、
男テニのマネージャーを務める年下の可愛い恋人。
顔見知りでも いつもは活動範囲が違うためか
それほど言葉を交わすことがない3人が それぞれに悩んでいるという事が
同じだろうと気付くのに さほど時間は要らなかった。
3人は それぞれの彼氏に隠れて 相談する。
(手塚彼女)「バレンタインに 何をプレゼントすれば 喜んでくれるのか?
問題はそこだよねぇ〜。国光は 絶対に口にしそうに無いし・・・・。
それに 甘いものも苦手だからな。」
(不二彼女)「そうですね、周助は 甘いもの大丈夫ですから チョコもOKなんですが、
貰う数を考えると やめておいた方がいいような気もします。」
(乾彼女)「お2人は まだ 対等な関係ですから それでいいでしょうが、
私なんて 手の上で遊ばされている感じですから 何をしてもお見通しだと思います。」
(手塚彼女)「乾君 大事に可愛がっているもんねぇ〜。
国光が言ってたよ、乾は ちょっと過保護すぎる位だって・・・・。」
その言葉に 可愛い彼女は 頬を染める。
「「かわい〜い!」」
(手塚彼女)「私達に言われても うれしくはないだろうけれど
それでもやっぱり可愛いね。」
(不二彼女)「そうですね 私から見てもそう思うんですもの。
乾君が 過保護になってしまうのも 頷けますね。」
(乾彼女)「先輩達こそ 綺麗で 美しいです。
それに 乾先輩がいつも言ってますよ『手塚と不二は 内に秘めているだけで 本当は
かなりの確立で 彼女達にベタ惚れなんだ。』って。
・・・・・・・そんなことより バレンタインの相談をしてるんじゃないですか?
早く決めて 準備しないと もう2週間しかないんですけど・・・・。」
心配そうに そう言った。
(手塚彼女)「そうね、それで提案なんだけど 私の兄の練習台になって
プロにメイクしてもらってプロに撮ってもらって 素敵なフレームに入れた
ポートレートをプレゼントするっていうのはどう?
兄に話してすでにOKもらってるし
後は2人のヤル気次第だけど・・・かなり腕はいい方だよ。
それに 私を撮り慣れているから 女の子撮るのうまいし
綺麗に撮ってくれると思う。
私は 今度の日曜に 頼んであるから 2人も一緒に撮ってもらおうよ。
大人っぽい素敵な フレームを売っているお店も教えるよ。」
その話に 後の2人は顔を見合わせて 頷いた。
(手塚彼女)「じゃ 決まりだね。
洋服は 制服と彼氏が気に入ってくれてる洋服の2本立てにしようと 思うんだ。」
(乾彼女)「制服もですか?」
(手塚彼女)「うん、私と 彼女は3年だから ちゃんとした制服の写真が欲しいし、
いつも見慣れているものと 私服との2枚あれば 言うことないでしょ?
不二君も 乾君も 喜ぶと思うわよ〜。」
(不二彼女)「それは 手塚君も同じだと思いますよ。」
お互いが ひやかして 頬が染まった。
そして バレンタイン当日。
手塚国光の手に渡った バレンタインのプレゼントは
フォトフレームとブラックチョコ。
フレームは シルバーメタリックのもので 中には制服で微笑む彼女と
手塚が好きな GジャンにTシャツでカメラをかまえた彼女の写真が入っていた。
その普段から見慣れた姿に 手塚は 彼女の身近さを思い知る。
添えられたカードには 『ONもOFFも 国光が好きです。』と記されていた。
不二周助の手に渡された バレンタインのプレゼントは
フォトフレームとミルクチョコ。
フレームは 白木製のもので 中には制服で微笑む彼女と
不二の好きな 白いワンピースで 赤いガーベラを1輪手にした
彼女の写真が 入っていた。
彼女の可愛い姿に 不二も思わず微笑む。
添えられたカードには 『学校でも 家でも 周助だけを見ています。』と
記されていた。
乾貞治の部室のロッカーに 入っていた バレンタインのプレゼントは
フォトフレームとビターチョコ。
フレームは すりガラス製のもので 中には制服で微笑む彼女と
乾の好きな 自分の青学男テニレギュラージャージをダボダボながら羽織り
テニスウェアを着ている彼女の写真が入っていた。
そのジャージは 先日 どうしても貸して欲しいと頼まれて 彼女に貸した品。
こんな事に使ったのかと 乾は その写真を愛しそうにみつめる。
添えられたカードには 『いつでも 先輩を 応援しています。』と記されていた。
その写真を見た恋人達は それをくれた愛しい恋人に すぐに「ありがとう。」を贈った。
愛を込めた キスと共に・・・・
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今回はドリームじゃないので 名前変換がありませんでした。
ごめんなさい。
ちなみに 跡部の彼女は学校が違うので出演なしです。