RoyalBlue
三蔵は室内を照らしていたシャンデリアの光を落として、
ベッド脇の小さいランプだけにした。
を見ながら自分のまとっていたシャツとズボンをそこで脱ぎ捨てる。
下着だけになるとの横に身体を横たえた。
両手で胸の辺りを隠しているの身体を自分に引き寄せて、
腕の中へと抱き込んだ。
少し震える背中をゆっくりと撫でてやる。
「怖いか?」
三蔵の問には腕の中で首を横に振った。
「じゃ こっち見ろ。」
伺うように覗き込んでやれば、素直に上を向いて三蔵を見上げる。
「ここにいるのは この国の国王でもなければ 義務や責任で結婚した男でもねぇ。
にイカレているお前の夫になった男だ。
だから怖がらずに、の全部を俺によこせ。」
三蔵にそう言われては瞼を静かに閉じた。
唇が触れるだけのキスを何度かすると、三蔵はキスを深くしていく。
息の出来ない苦しさにがわずかに口を開けたのを逃さないように、
自分の舌を滑り込ませる。
閉じたままの歯を舌で優しくなめてやると、それに答えるようにおずおずとそこを明け渡した。
そのままもっと中へと入り込み 隅で怯えているの舌をそっと突付いてやる。
恐る恐る自分の舌に差し出されたそれを、驚かせないように自分の舌で
撫で上げ絡ませる。
「さんぞぉ・・・くるしぃ。」
何時までも放さない三蔵に、は何とか訴えた。
そこに至ってようやく三蔵は から離れた。
腕の中で肩で息をしている様子が たまらなく庇護欲をそそる。
そちらに気を取られている隙に ストラップレスのブラのホックを背中でパチンと外してやった。
「いやっ」そう思わずが言葉にする。
「でも苦しいんだろう?
それに 包み紙は最後まで綺麗にとらねぇとな。」
三蔵はそう言っての顔を見た。
その言葉にの頬が染まっているのが、ランプの光に慣れた目に良く分る。
「本当に嫌か?」
今更嫌だと言っても聞き入れるつもりは無いのに、の同意を求めるように尋ねる。
「いいえ。」
が小さくそう答えた。
「手をどけろ。」
三蔵の言葉に見上げたの瞳は既に潤んでいた。
力を入れなくても三蔵が手を添えれば 素直にそれに従う事は分っている。
それでも三蔵はそうしなかった。
どうしても自身の意思で、そこを自分に明け渡して欲しかった。
黙ってみている三蔵の前で、はおずおずと胸を隠していた両手をそこから外した。
白く柔らかそうな胸が、呼吸によって上下している。
三蔵はそのの手を自分の胸に触れさせた。
「も俺に触れ、恥しさが薄れるだろ。」
が三蔵に触れても恥ずかしさが薄れるはずは無い。
一方的な行為でない事を三蔵自身が感じたいだけだ。
だが はそれに頷いた。
何も知らないと言うのは 経験者にとっては素直すぎて恐ろしく感じることもあるが、
今の三蔵はそんな心境だった。
愛しくて愛しくて 壊してしまいたい位に愛しい。
見詰め合ったままもう一度キスを落としてやる。
今度は 先ほどよりも力が抜けていて、唇も柔らかく甘く感じる。
キスに意識を散らせて置いて、三蔵は明け渡された胸にそっと手を這わせた。
「んんっ・・・・」
口内で上げた声が篭る。
身体を敏感に反応させて、三蔵の手の動きを感じている。
唇を離れた三蔵は、頬に顎にとキスの雨を降らせながら首筋へと徐々に下がった。
「三蔵?」
不安そうにが三蔵を呼ぶ。
「ここにいる。」
三蔵はそう言っての手を自分の頬へと導いた。
このまま 自分の欲望のままにと結ばれてしまうのは容易い。
だが 初めてのが受ける痛みをどれだけでも減らしてやりたいと、三蔵は考えていた。
「これから俺がすることは、にとって恥しいことだろうし 抵抗があるだろう。
だが 信じての全てを預けてくれ、いいな。」
頬に触れている手の平に誓うようにキスを落とすと、は分らないながらも頷き返した。
そっと優しいキスを贈ると、三蔵はの胸へと愛撫を続け始めた。
まだ誰も踏み荒らしていない新雪の上を、粉雪を舞い上がらせないように優しく進む様に
そっとふくらみを撫で上げ頂に指を添える。
電流が走ったようにビクッと反応を見せるかわいい身体に、
三蔵は煽られているように感じた。
柔らかいふくらみは、三蔵の手に吸い付くように馴染んで来る。
尖って立ち上がってきたバラ色の蕾を口に含んで、舌で転がしてやれば
「あっ、ダメッ・・・・」と拒否する言葉が紡がれた。
それを綺麗に無視をして三蔵はそのまま行為を続けていった。
の息がだんだんと艶を帯びてくる。
漏れる吐息が三蔵の耳朶を甘くくすぐり、香水をまとっただけの身体からは
男を刺激する香りが漂う。
惚れているという自覚はあったが、ここまで溺れているとは思わなかった。
それ程に我慢が効かない。
ガキのようにがっつく様な抱き方だけはしたくないと、三蔵はの様子を見ながら
身体中に手を這わせる。
胸だけでとろけるような快感を味合わせると、両足の間にそっと手を差し入れた。
「さんぞぅ・・・そこは・・・・」
羞恥心から足を硬く閉じて、は抵抗を見せる。
閉じた足の隙間から 指を差し込んでその下に眠っているはずの華芯を撫でてやる。
三蔵の思ったとおり、そこは既に潤っていた。
足を閉じたまま与えられる快感に、は頬を上気させている。
手はシーツを鷲掴みにし 感じている姿を三蔵に見せる。
それだけで こんなにも熱くさせられるのは初めてだと、三蔵は思った。
クチュクチュとわずかな水音があがり、耐え切れずに唇から漏れる嬌声が
三蔵の耳朶を打ち これでもかと言うほどに男を煽る。
次の瞬間、指を動かせないほど強くつま先まで足に力を入れて は軽い恍惚感を得た。
身体から力が抜けたのを確認すると、三蔵はの足の間に自分の身体を滑り込ませた。
思うように動かない身体に、は「三蔵、いやっ・・・・」と声をあげた。
「感じすぎて怖くなったのか?」
割り込ませた身体の動きを止めて、三蔵は顔を近づけてに尋ねた。
思わず出てしまった言葉には説明がつかない。
「初めてなんだ、もう少し慣らす必要がある。
俺に身体を預けて、は感ずるままに・・・・いいな。」
視線を合わせてそう言った三蔵に、はただ頷いた。
男だ夫だとこの人は説明していたけれど、
これほどまでにカリスマ性を持った夫はそうはいない。
ここに居る自分は王ではないと・・・違うと言うけれど、
三蔵はこんなにも王としての存在を感じさせる。
はうつろになった思考の中でそう思った。
そんな事を考えていたは 次の三蔵の行動に驚きを覚えた。
自分の足の間に顔を埋めて 自分でも未知なる場所に愛撫を施そうとしている。
急いで逃げようとして力を入れたが、三蔵の両腕がそれを許してくれない。
足には既に力が入らない上に、心持ち腿を抱えあげられているので膝を立てている格好だ。
ここで腰を上げようとすれば、なんだか自分からそこを三蔵に差し出すようになってしまうと、
は焦って 身を硬くした。
それが三蔵には初々しく映るとも知らずに・・・。
三蔵の愛撫が始ってしまうと、もうどうすることも出来ずにただ与えられる快感に
身をゆだねる事しかには出来ない。
とろけて力が抜けてきたの体の中に、三蔵はそっと指を滑り込ませた。
「さんぞぅ・・・なに?」
その違和感にが我に返ったように怯える。
「大丈夫だ、俺の指だ心配要らない。
怖がらせたか?」
「ううん、そんな事ない。」
そう言うが声には怯えている感じがあった。
三蔵は身体を起こして 入れたままの指は抜かずに
もう片方の手で紅潮した頬を撫でてやった。
の顔に安堵の色が浮かんだのを見て、唇を合わせる。
入れた指を抜き差ししてやるとそこからの快感にが切なそうな顔をする。
それに煽られる自分を感じて、三蔵は指を2本に増やした。
さすがに先ほどよりは抵抗を感じたものの今度は も何も聞かずに
わずかに瞑目してそれに耐える。
もう三蔵が何をしようとしているのか理解していた。
安心して与えられる行為に身を任せている。
三蔵の指にの中の変化が伝わる。
それまでの嬌声に苦しそうな声が混じる。
「んんっ・・・・・」
声にならない声をあげては達したようだった。
きつく瞑った瞼に唇を寄せてやれば、恥しそうに微笑んで瞳を覗かせる。
考える時間を与えれば恐怖しか浮かんでは来ないだろうと、入れていた指を抜くと
三蔵は何も言わずに己を蜜口にあてがい そのまま突き入れた。
「あぁっ・・・・・」
痛さよりも驚いたようにが反応する。
次に襲ってきた痛みに耐えるように は三蔵にしがみついた。
三蔵は自分の中に湧き上がる衝動を必死に押さえつけながら、
痛みに耐えるを抱えてやり その背中を優しく撫でてやる。
「痛みが収まって来たら言え。」
そうの耳元で囁いた自分の声のかすれ具合に、三蔵自身が驚いた。
やせ我慢もいいところだ・・・・と。
ものの30秒ほどが 果てしなく長く感じる。
男の要求に、痺れが切れそうだ・・・・・・・・そう思い始めた頃、
「もう、大丈夫です。」
胸元から待ち望んでいた応えが上がった。
の身体をゆっくりとシーツの上に戻して横たえると、
「こっちにも余裕がねぇ。
出来るだけ優しくするが、痛むかもしれねぇぞ。」
脅したくはないが、本当のところは感じるのは痛みだけだろうと
三蔵はあらかじめそう言い置いた。
「はい。」と細いが確かな答えを耳にすると、我慢を重ねてきた動きを解放してやった。
それから 三蔵はとにかく欲するままに動いた。
何度も寄せては引き突き上げる 溶け合ってしまうほどに2人の身体は熱くなった。
限界が来て吐精すると ようやく肺一杯に酸素を取り込む。
嬌声を上げ続けていたを見下ろせば、既に意識を飛ばした後だった。
汗のにじんだ額に張り付いているの髪を指でそっと避けてやると、
自然と弧を描いた唇で 慈愛を込めたキスをそこに落とした。
女性に対してこんな感情を持つなど初めてのことだと、三蔵は思った。
身体の要求は既に満たされていると言うのに、心はもっとを欲している。
さえ答えてくれるのなら 自分はまだ物足りないほどなのだ。
だが 朝からのスケジュールで疲れていると思うと、起こしてまでは抱こうとは思わない。
「溺れてるもんだな。」と つぶやいて自嘲した。
せめてその柔らかい身体を抱いて眠りにつこうと、
の横に身体を横たえ腕の中に抱きこんだ。
するとは無意識に自分の方に擦り寄って来る。
芽生えた甘い感情に三蔵も身をゆだねると、瞼を閉じてそれを受け入れた。
これからは毎晩こうして幸せを抱いて眠れるのだと、
遠くなる意識の中で三蔵は微笑んだの顔を思い浮かべた。
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