Accept 6




龍介と風呂から出て部屋に戻ると、は縁側に腰を下ろして
空に浮かぶ月を見上げていた。
俺はスポーツドリンクのペットボトルを手にして、その横に腰を下ろした。
「綺麗な月ね。」
そう言ったの横顔は、月の蒼い光に照らされて人ならざるものにも
見えなくはないほど綺麗だった。
妖にしては清潔さがありすぎるような気がするし、
神社の神域だけに巫女と言った方がいいのかもしれないが、
は純潔ではないから巫女ではないな・・・と、そんなことを考えていた。
いまどきそんな硬いことを言うものも居ないだろうが、
本来巫女とはその身体に神を降ろさなければならない為に、
男の手が触れた身体であってはならない。
それでも には触れた者までも浄化するような、
そんな気が満ちていると思う。



俺の反対側に龍介が腰を下ろした。
の手を取るのが見えたので、俺もその反対側の手を取った。
、僕と鷹介は当主になる話を受けることにしたよ。
鷹介が譲ってくれたから、僕が当主の座に就くことになると思う。
となれば、は書類上だけだけど僕の妻になって、
当主夫人と言うことになる。
一族への披露目は継承式と言うことになるから、
結婚式には披露宴は付かないみたいだよ。
3人で静かな式が出来るはずだ。
さっきのプロポーズを受けてくれたから、が嫌だと言っても
もう放すつもりはないんだけれど、一緒に来て欲しいんだ。
僕と鷹介でを守って愛して行きたいんだ。」
煌々と月の光が降り注ぐ中、龍介の声が静かに胸の中に落ちていく。
「ありがとう。
私、2人の愛を同時に受けると決めた時から、
普通の関係なんて望んでないから。
だから、このまま何処へでも連れて行って。」
そう軽やかに言葉を放つと、は龍介と俺の頬に順に唇を寄せた。



龍介が立ち上がってもそれにならう。
縁側のサッシを閉めて鍵をかけると、布団の敷いてある部屋に入った。
俺と龍介で両側から障子を閉めると、月の光さえも少ししか届かなくなって
部屋の中の光度が落ちた。
それでも暗闇にはならない。
部屋のその暗さに目が慣れてしまえば、結構鮮明に見える。
さすがに影の部分は暗くて、よく見えないけれど。
和室のせいだろうが、暗視カメラで見る暗闇の世界のように
全てがブルーグレーになってしまったかのようだ。
そんな中で、の唇がやけに艶やかに見えるのは俺だけだろうか。
着ているパジャマの合わせから覗く胸元が、とても白く見えて俺を誘う。
思わず手を伸ばしてそのボタンを外した。



俺の手をとめようと伸ばされたの手を、龍介がの後ろ側からつかむ。
龍介に両手をつかまれて、拘束されたような体勢の
なんだか無理やりするみたいで、興奮する。
決してが嫌がることはしない。
だから、もし本当にが嫌だと拒めば、いつでも止めるつもりだ。
ただこれから始める睦言には、パジャマは邪魔だ。
の手が阻まなくなったので、俺はゆっくりとパジャマの前をくつろげる。
キャミソール越しにの胸が見える。
これからのことに期待しているのか、龍介に抑えられていることで
もいつもより興奮しているのか、呼吸で上下する動きが
いつもより大きいと思った。
鎖骨の上を指先で撫でて、それをキャミソールに添って辿っていく。
胸の谷間の真ん中で止まると、今度は両手でキャミソールとブラの肩紐を
指に引っ掛けて肩から外した。
キャミソールとブラから胸がこぼれ出る。
その柔らかい丘の頂は、まだ触ってもいないのにピンと張り詰めている。



、もうこんなだよ。」
そう言ってから、尖ったところを指先で軽く押した。
ビクッとの身体が震える。
その震えが俺の中の男をくすぐる。
が抵抗しないことが分かったからか、龍介がの手を放して
胸の愛撫に伸ばされてくる。
それを確認して俺は手をの背中に回し、ブラのフックを外してやる。
龍介が上の下着をの肌の上から取り去った。
そのまま背中を撫でながら下がっていく。
パジャマの後ろ側から両手を差し入れて、柔らかい双球を手を広げてもむ。
弾むように俺の手を跳ね返してくる。
そうやってのお尻を堪能してから、片手をそっと足の間に差し入れた。
そこはもうしっとりと濡れていて、俺の指先がつるりと滑るほど。



、感じているんなら、もっと声を聞かせて。
此処は母屋とも随分離れているし、誰も来ないよ。
当主たち3人も俺たちがこうすること分かっていて、
こうして布団が敷いてあるみたいだし。
あの人たちもきっと今頃は、こうしてるんだから・・・・。」
の顔を見ながら、指をそのまま上下に這わせる。
クッと喉が鳴る様な音を出して、の身体がわずかに跳ねる。
「よう・・・・駄目っ。」
俺の言葉に辱められたのか、の頬が一段と染まったように見える。
「このままじゃせっかく変えた下着が汚れちゃうな。
どうする?」
湧き出る泉の中心部分に少しだけ指を差し入れて、入り口付近を刺激してやる。
中途半端な愛撫では余計に辛くなるのは知っている。
それに反応するように、中から愛液が溢れてきた。
「意地悪しないで・・・・お願い。」
龍介が胸を愛撫し続けるその腕につかまりながら、
が切なげに俺を見た。



「ん、のお願い聞いてあげような。」
空いている方の手で、下着ごとパジャマのズボンも下げてやる。
そのまま足首まで下ろして、足を抜いてやる。
が閉じる前に両足の間に身体を滑り込ませる。
枕許に置いておいた避妊具を龍介が差し出してくれた。
俺がに入る準備をしている間、龍介は後ろ側から移動して横に来ると
にキスをして抱きしめている。
足を開いて片方を肩にかけると、の濡れて誘う部分にあてがい
ゆっくりと中へ入り込む。
入り口付近は抵抗を見せるのに、少し進むと引き入れられる様な感触が襲う。
それに身体を預けるようにして、の最奥まで一気に進みこんだ。
すぐに動くとそのまま果てそうになるほど気持ちがいい。
でも まさか本当にそうなるのはちょっと男として不甲斐ないような気がするので、
息を吐いてやり過ごす。



は龍介のキスと愛撫で俺の方を見れないくらいに翻弄されている。
感じるたびにの中が収縮し、俺の方が愛撫されているような感じだ。
じっとしているのも我慢できなくなって、ゆっくりと動き始める。
最初は優しく内壁をこする時もソフトな感じで。
それでも 龍介とのキスが続けられないくらいに、の身体が揺れる。
その視覚的な刺激に俺の方が音を上げた。
、好きだよ。」
それだけを言葉にして伝えると、そこでようやく彼女の視線が俺に向いた。
頬が染まり、少し苦しそうな表情で淡く微笑む。
「うん、鷹介・・・・私も。」
嬌声の間にそれだけを何とか言葉にして伝えてくれる。
じわりと上がって来ていたメーターが振り切れた。
もう駆け上がることしか出来なくて、腰の動きを早める。



それこそ、ギュッという感じで包まれた途端、薄い膜越しにの中へ
自分を解放した。
何度も収縮を繰り返す彼女の中が落ち着くのを待って、
そっとつながりを解いた。
けだるい身体をの横に投げ出す。
龍介がの汗を拭き、水を飲ませるのを見守る。
大人しくされるがままのに近寄って、頬に唇を寄せる。
、素敵だったよ。」
こちらに顔を向けた彼女にそう囁いて、少しひんやりした身体を抱き寄せた。
そっとその場から離れた龍介が、への愛撫を始める。
再び上がる嬌声に俺の意識も一緒に官能の渦に飲み込まれていく。
こうやって見れば、男よりも女の方が強いのかもしれないと思う。



確かに種の保存に従うと男の方が浮気性かもしれない。
でも 一度に何人も相手にするタイプのセックスはあまりしない。
どちらかと言えば、点描的に相手が欲しいという感じだ。
それに比べると、こうして俺と龍介の2人を一度に相手をしても
は同じように俺たちを愛してくれる。
身体の構造を無視したつながり方をすれば、
俺と龍介を同時にその身体に受け入れることも出来なくはない。
でも 俺たちは出来るだけそういう事は止めておこうと話し合った。
何よりもに負担がかかるからだ。
身体だけでなく、その心が病むこともある。
には今のままの真っ直ぐで優しい彼女でいて欲しい。
その為になら少しくらい俺たちが我慢をするくらいなんでもないと思う。



龍介の動きが激しくなってがまた昇りつめようとしているのがわかる。
それを助けるようにの身体を抱きしめて愛撫する。
胸を手の中に収めると龍介が起こしているゆれとは明らかに違う感じで、
彼女が震えているのが伝わる。
。」
愛しい気持ちを込めて名前を呼べば、俺にすがるようにしてつかまって来る。
何処にも行きはしないのに、まるで激流の川の中にでもいるかのように。
「ん、此処にいるよ。
を愛してる。
俺と龍介の2人で、愛している。」
すぅっと流れた涙を唇ですくってやると、の震えが大きくなった。
限界に来たのか龍介もも喉で啼くような悲鳴を上げて臨界を突破したようだ。



2人の大きく激しい息が部屋を満たす。
先ほど龍介がしたように、の汗を拭いて自分の口に入れた水を
口移しでそっと流し込んでやった。
2回ほど繰り返すと「ありがとう。」と、ようやく言葉が返ってきた。
「ん、疲れただろ。
明日の朝、軽く風呂に入るから今夜はこのまま休もう。」
龍介に確認を取るように見れば、頷いて同意をしている。
を間にして、そのまま布団をかけた。
望んでいてもあきらめなければならないかもしれないと考えていた未来。
その道が開かれたのだ。
こうやって3人で歩いていける未来が・・・。
多少の不便や面倒ごともこのためになら甘受して行こうと、そう思った。
きっと龍介も同じだろう。
気持ちも身体も満たされたような気がしている。



が布団の中で手をつないできた。
きっと龍介ともそうしているだろう。
自分の顔が緩んで笑顔になっているのを感じながら、
睡魔に意識を手放した。





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2005.06.01up