Sweethearts are twins 2





チケットを見せると、龍介も鷹介もとても驚いていたけれど、
でも龍介はすぐに貸し別荘へと電話して予約の確認をしていた。
鷹介は、おじさんの車を借りる手配をして、ネットで場所や施設の確認をして、
持ち物や向こうでの計画に抜かりが無い。
そうして、私たち3人は那須高原の別荘へと出発した。



車の中での私の定位置は助手席。
運転はこの春休みに免許を取った龍介と鷹介が2人で交代。
高速に乗るとゴールデンウィークと言うこともあり、結構混んでいた。
それでも渋滞と言うほどではなかったので、まあいいほうだろう。
鷹介が調べておいてくれたので、目的の別荘に着く前にスーパーで先に食料品や
飲み物、調味料などを購入した。
あまり、凝ったものは作らないことにして、パスタや冷凍食品などを中心にして、
5食で食べきるように計画する。
お菓子やインスタントモノを少し多めに買って、足りないときに使うようにした。



別荘に着いて管理人の人に案内されたのは、和風の一軒家だった。
間取りは10畳の和室に8畳のフローリンク・リビング、3畳の脱衣所に
浴室とトイレといった構成だった。
浴室は、外への窓が全面に大きく取られていて、まるで露天風呂といった感じだ。
3人で同時に入っても余裕だろう。
リビングについているテラスから外に出ると、バーベキューも出来る設備があった。
今日はお天気がいいので、まだ日当たりの良い部屋の中は温かいが、
外はひんやりとした空気だと感じる。
少し遠くに見える山の頂は、まだ冠雪しているのだから無理もない。
外でのバーベキューは無理だろう。



食料品を冷蔵庫に片付けて、今夜の分だけキッチンに残す。
簡単にステーキを焼いて、インスタントのスープを作り、ロールパンをレンジで温め、
レタスときゅうりとトマトの簡単なサラダを作れば終わりだ。
買い物の途中で、凝った料理を作ろうと言い出した私に、
龍介はスパイスを棚に戻しながらこう言った。
「僕たち、別にに料理の腕を振るって欲しいわけじゃないんだ。
だから、凝った料理なんて作らなくていいよ。
僕も鷹介も多少は手伝えるから手を貸すし、に家事をさせたいわけじゃなくて、
ただ一緒にいたいだけなんだから。
が料理上手なのは知っているけど、今回は僕に免じてさ・・・。」
「そうそう。」なんて相槌を打ちながら、鷹介はすぐ下の段にある既製のドレッシングを
かごに放り込んで、私にウィンクしてみせた。



なんだか2人に押し切られて、簡単な献立にしてしまった。
でも 私もゆっくりと3人で過ごしたいと思っていた。
いつも一緒にいて、子供の頃から兄弟のようにして育ったから、
知らないことの方が少ないはずなのだ。
でも それは、幼なじみとしての龍介や鷹介で、男の人としての彼らは知らない。
1年間を両思いの恋人として過ごしてみたけれど、なんだか私の知っている
あの深山家の双子のはずの2人とは、何処かが違っている気がした。
そのことも尋ねてみたかった。



夕食が終わると、「俺と龍介で後片付けしとくからさ、は先に風呂に入ったら?」
そう言われて、強引にお風呂を勧められた。
後で入るのもなんだか気にしちゃうし、先に入ってお布団でも敷いておこうと
思ったので、言われるままに先に湯を使う。
天然温泉を引いている別荘のお風呂は、水道水と同じ無色透明だけれど、
湯に入るとその違いを肌で感じた。
髪と身体を丁寧に洗って、外を眺めつつゆっくりと湯船に浸かる。
きっと、女の入浴は長いと2人とも悪口でも言っているだろうな。
一人でいるのに、思わずクスクスと笑いが漏れた。



案の定、浴室から出ると「長かったなぁ〜。」と鷹介が呆れたような響きで、
からかうように声を掛けて来た。
「よし、僕たちも入ってくるか。」そう言って龍介が腰を上げると、
鷹介も「だな。」と行ってしまった。
今のうちにと思って、和室の襖を開けるともう3組の布団が並べられていて、
台所へ行ってみれば、食器も綺麗に片付けられている。
他の男の人のことは知らないけれど、結構やるもんだなと2人を見直した。
でもお布団はその微妙な離れ加減が気になる。
それに3組並べられているけれど、どれに入っていいかも分からない。
先に休んで寝た振りという手は使えなさそうだ。



普段は寝るときには、ブラジャーは着けない。
でも今夜はちゃんと着けていた。
もしそうならなかったら、それはそれでいいと思ったし、
下着を着けていなくて待っていたような隙を見せたくなかった。
意地っ張りだと思う。
せっかく買った可愛い下着を、見せたいような見られたくないような・・・・。
もうじっと椅子になんか座っていられなくなって、窓辺に行くと真っ暗な外を見る。
少し落ち着こうと思った。
他の建物にも灯りが灯っていて、人の気配を感じさせる。
ゴールデンウィークを家族と、恋人と、友達と、楽しんでいるんだろう。
もちろん、私たちだって同じ気持ちには違いない。
それに、相手は龍介と鷹介なんだもの、何も怖いことなんか無いはずだ。
そうだ・・・龍介と鷹介だ。
だから、もしどうしても駄目だと思ったら、きっと何とかなるだろうと思った。
自分勝手だけど、止めて欲しいと言えば止めてくれるだろうと思う。
そう思ったら、少しづつ気持ちが落ち着いてきた。



窓ガラスにお風呂から上がってきた2人が映りこんだ。
「どうした?」
「うん、カーテンを閉めようと思って。」
龍介にそう答えて、指がかかっていたカーテンを閉めた。
「飲む?」
お酒でも飲めば空気が和むかもしれないと、そう尋ねてみる。
「いや、僕はお酒は要らない。ポカリかなんかあっただろ?それでいいよ。」
「うん、俺も。」
そう言われて冷蔵庫から取り出してペットボトルからグラス3個に注ぐと、
お盆は横から鷹介に取られた。
TVからは陽気な音が流れてはいるけれど、とてもそんな気持ちになれない。
面接前の控え室のような空気が漂う。
別荘の雰囲気作りのためなのか、壁掛けの鳩時計が10時を知らせるために、
「ポポッ、ポポッ・・・・・・・・。」と鳴いた。



コトンとグラスを龍介がテーブルに置いて、
「運転で目が疲れたから先に休むな。」と立ち上がった。
「じゃ俺も。」と、鷹介も立ち上がる。
そして龍介が襖を開けて振り返ると、鷹介も同じように振り返って私を見た。
「「。」」
名前を呼ばれて顔を上げると、2人が手を差し出していた。
「うん。」
両手を出してその手につかまると、真ん中の布団の上に導かれた。
鷹介がリビングやキッチンの灯りを消している間に、
龍介も和室の灯りを消して枕許の常夜灯を点けた。
「布団を付けてもいいか?」
「いいよ。」
そう答えると、両側からそれぞれが布団を押して畳が見えなくなった。



掛布団を足元で3つ折りに重ねてシーツの上に横たわると、
2人が両側から枕を寄せてすぐ隣に横たわった。
こんな風に3人が並ぶときは、私の右側に龍介、左側に鷹介と決まっている。
2人がそれぞれそっと手を握ってくれた。
なんだか恥ずかしくて、2人の顔が見れない。
まっすぐ天井を見る。



龍介が耳元で「がいやだったら、何もしないでこのまま眠るよ。
だから正直に言って欲しい。」
少しかすれた声なのは、横になって囁いているからだろうけど、
なんだか艶を含んで背中がゾクリとした。
「嫌じゃないの、ただ 初めてだから怖いだけ。
それに、3人でって・・・・知らないから・・・・・。」
どんな事をするか位は知っている。
でも 3人でなんて出来るものなの?
「可愛いなぁ、誰でも最初は初めてだから、大丈夫だよ。
それに、俺と龍がちゃんとやり方知っているから、は言うとおりにして。」
空いている手で髪の毛を撫でながら、鷹介がクスクスと笑った。
「じゃこっちに向いて。」
鷹介の言葉どおりに向くと、そっと唇を重ねてきた。



最初は啄ばむように優しく何度もキスをしてくる。
体から力が抜けたところで、舌で唇を舐められ甘噛みされる。
もう何度もされたキスの経験から、そっと隙間を作るとそこから忍び込むようにして
鷹介の舌が入ってきた。
龍介の手を放して、鷹介のTシャツにつかまる。
背中から龍介が抱きしめてきた。
お風呂上りの身体はまだ熱を持っていて、温かい。
するっと脇の下から前に回った龍介の手が、胸元に伸びてきて
パジャマの上からふくらみを確かめるように撫でている。



その手を止めようとして、鷹介のTシャツから手を放したら、
すかさず手を掴まれて、身体を上向きにされ両手を頭の上でまとめられて
鷹介に押さえられてしまった。
龍介はちゃんと右側に回りこんでいて、いつの間にかパジャマのボタンを外している。
声を出そうにも鷹介のキスに塞がれているし、手も自由にならない。
思わず身体に力が入る。
「しぃ〜、大丈夫だから体から力を抜いて。
が嫌がることは俺も龍もしないから・・・・ね。」
鷹介の声で瞼を上げると、優しい笑顔が覗き込んでいた。
「此処にいるのは、のことが好きで大切に思っている俺と龍だけだから、
何も怖がることは無いよ。
だから 全てを預けて。」
鷹介の落ち着いている声に、ほだされて頷く。
「うん、よかった。
ねぇ、この下着可愛いね。
新しいね、今夜の為に買ってくれたって思ってもいい?
に似合っているよ。
なぁ、龍介。」
カップと胸の境目を指でなぞりながらそこを見ている龍介に、鷹介は話しかけた。



「あぁ、凄く似合っている。
下着も可愛いけれど、がつけているからこそ、この下着も可愛く思うんだろうな。
それにの肌がこんなに綺麗で滑らかだとは思わなかった。
想像以上だ。
何時までも触っていたい。
もっと色んな所を触ってもいい?」
鷹介の顔しか見えないけれど、龍介がどこを触っているのかが分かって、
頬が熱くなるのが分かった。
「龍、そんなこと聞いたらが困るだろう。
お前ってばそういうところは相変わらず無粋だよ。
俺たちが全部のものだというかわりに、は全部俺たちのものなんだから
全てに触ってもいいさ。
だからもどこでも好きなところを触って。」
鷹介はそう言って、押さえていた手を放してくれた。





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