足の指を舐める




当然だけど、神社の書き入れ時はお正月だ。
大晦日から元旦の明け方までは、こんな田舎の神社でも参詣の人でにぎわう。
田舎だと思うのは、参道に香具師も何も出ていないからだ。
役付きの爺さんたちが、大なべで昆布茶や甘酒を作り振舞うくらいで、本当に何もない。
僕とお祖父さんは交代で本殿だし、お祖母さんは社務所と裏方のまとめ、彼女は外のおみくじやお守りのご下賜場で、巫女さんのバイトの子達と忙しくしていなければならない。
特に彼女は大変だと思った。
巫女の装束はそれでなくても薄着だ。
中にたくさん着ていると言っても、寒いだろう。
足元にはヒーターも置いていると言ったけど、それもどこまで効果があるのか・・・。

明け方、ようやく人波が切れた。
これから午前中は休み。
社務所を開けるのは午後からだ。
僕と彼女は一旦アパートに帰ることにした。
先ずは、風呂に入って身体を温めようということになった。
彼女が朝食を準備している間に、お風呂を準備する。
お雑煮を食べて、一緒にお風呂に入った。
交代ではいるほど、時間に余裕がない。
少し眠ったら、午後からはお神楽の奉納があるから・・・。
もうひと仕事待っている。

身体を洗って湯船に足をつけた彼女が、顔をしかめた。
「どうしたの?」
「足がしびれてるみたい。」
それはそうだろう。外での立ち仕事だったんだから。
「じゃ、血行がよくなるように少しもんであげる。」
浴槽の反対側に座らせて、足をひざの上において撫でてやる。
お湯の中でもその冷たさは健在で、なかなか温まってこない。
しばらく、そのままマッサージをしてあげた。
「もう良いみたい、ありがとう。」と、彼女が足を引こうとした。
「待って感覚が戻ったか試すから。」
ひざの上においていたのを手に乗せ変えて、お湯から出す。

ほっそりとした白い足が目の前に。
足裏をそっとなぞると、彼女の身体がビクッと反応を見せた。
「ん、足裏の感覚は戻ってるみたいだね。
じゃ、これはどうかな。」
可愛い爪をしている指をそっと口に含んでみた。
「んっ、やっ。」
なんて色っぽく反応してくれちゃうから、すぐにお風呂をあがってベッドに転がり込んだ。

元旦から少し不謹慎だったかな。



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