Eternal

 愛してる、なんてそんな言葉じゃ伝わらない。

 自分でも、抱え切れないほどのこの想い。
 君にどう伝えればいいんだろう。

 君の顔を見る度に、君の声を聞く度に、君の肌に触れる度に、
 泣きたいくらい切なくなる。
 そんな僕を、君は知ってる?

 君の小さな唇が、僕に向かって「好き」と囁く度に、胸が痛くなるほどに満たされる。
 そんな僕を、君は知ってる?

 恋が甘いものだなんて、誰が言ったんだろう。
 辛いだけ、苦しいだけ、自分の心臓を自分で抉ってしまいたいくらいに。
 君が、僕のとなりにいない時には。

 愛してると何度も言って、想いがカタチになるのなら。
 僕はいつまでも叫ぶだろう。
 この声が枯れるまで。

 好きだ、大好きだ、愛してる。
 1番伝えたい気持ちなのに、どうしてこんなに語彙が少ないんだ。
 人間ってやつは、なんて不器用な生き物。

 けれど、僕はそれを口に出さずにはいられない。
 君が、一途な瞳で僕を見上げてくれる限り。
 君が、僕にとって絶対に失くせない「何か」を与え続けてくれる限り。

 愛していると、何度でも。

* * * * *

 君のためなら命を懸けるなんて容易いこと。

 僕は、他人よりも現実主義だと思っていたし、
 不確定なもののために何かを犠牲にする、
 なんてことは、君に出会うまで考えてもみなかった。
 ていうか、頭に浮かんだことすらなかった。

 それが、どうだろう。
 今の僕を見てよ。

 世間の常識? そんなものは、クソ食らえだ。
 道徳? 分別? どこかで失くしてしまったね。

 忘我、とはこういうことを言うのだろうと思う。
 君しか見えなくて、君の声だけ聞いていたくて、
 君にだけ側にいて欲しくて、いつもいつも。
 君のことだけ考えていたい、他のことなんて宇宙の果てにまで飛んで行ってしまえ。

 寝食を忘れても、君を抱いていたい。
 それが許されることであるなら。

 強く抱きしめれば折れてしまいそうな華奢な身体で、
 僕の欲望の全てを受け止めようとする君。
 だから、僕は……君を求めずにはいられなくなってしまうんだ、果てもなく。

 君を僕だけのものにしたいんだ、たとえ君を壊してでも。
 そして、その償いに僕の全てを君に捧げる。

 愛しい人……。
 君のためなら、僕は何を捨てても惜しくはないんだ。

* * * * *

 願いが一つだけ叶うなら、君の願いを叶えたい。

 君が、僕に望むものは何?
 何でもいいから、言ってごらんよ。

 ああ、もちろん僕は、魔法の杖も、打出の小槌も持っていないけど。
 でも、君のためにできる限りの努力をする覚悟はあるから。

 もし今、流れ星が見えたら何をお願いする?
 僕はね、君の願いを叶えてくださいって言うんだ。

 君がいつも笑っていられるように。
 君がいつも幸せでいられるように。
 君の嬉しそうな顔を見ることが、僕にとって1番の喜び。

 君以外に欲しいものなんて何もない。
 君がこうして僕のとなりにいてくれること、
 それだけで僕はとても満たされているから、
 これ以上を望んだら、罰が当たりそうでなんだか怖いよ。

 だから、ねえ……僕から離れていくなんて言わないで。
 僕が君を手離せるわけがないこと、君だってわかっているだろう?

* * * * *

 僕を愛さない君など死んでしまえばいい。

 時々、そんな屈折した思いを抱くことがある。

 君を、鎖に繋いで閉じ込めて、僕だけがかわいがってあげればいい。
 僕を君の世界の全てにして、他のことは何も考えられないように。

 そんなことを考える僕は、狂っていると思うかい?

 だけど、僕をこんな風にしたのは、君。
 溢れるほどの君への想いが、僕を狂わせる。
 ああ、別に……君を責めているわけじゃないんだけど。

 こういう激しい感情が、自分の中に存在してたっていうのは驚きだった。
 その時、初めて気がついた。
 恋っていうのは、決して甘いばかりの感情ではないということ。
 嫉妬とか独占欲とか征服欲とか……そんな猛々しい気持ちの昂ぶりも、
 同時に湧き起こってくるものなんだ。特に、その人のことが好きであればあるほど。

 君は、僕がどんな僕になっても、受け入れてくれる?
 いつまでも、僕を見上げて、甘い言葉を囁いてくれる?

 いっそのこと、君も僕を殺したいほど好きになってくれたらいい。
 僕が君を本当に壊してしまわないうちに、僕を止めてよ。

 優しく抱きしめて、こう言ってくれるだけでいいんだ。

 私もあなたを愛してる、って。

* * * * *

 もし、この手が離れたなら僕はもう生きてはいられない。

 こんなことを考える僕は、なんて情けない男だろう。
 君に呆れられてしまったら、困るな。

 だけど、君はもう、僕のかなり深いところの一部になっていて。
 ある日突然、君がいなくなってしまったら、
 僕はその穴をどうやって埋めていいのかわからない。
 そもそも、君の消えた跡を埋められるものなんて、この世にあるとは思えない。

 君は、僕が君を必要としているのと同じくらい、僕を想ってくれているのかな。
 求め出したらキリがなくて、夜も眠れないくらい君に焦がれてしまうのだけれど。

 僕の腕を枕にして、小さな寝息を立てる君に触れる。
 それから、安堵の溜息を吐く。
 今夜も、君は僕のとなりにいる。においが感じられるくらい近くに。

 それがどんなに僕を落ち着かせてくれるか、きっと君にはわからない。
 わかってくれなくても構わない。
 君は、ただ僕に愛されていてくれればいいんだ。

 これほどまでの愛を僕に感じさせてくれたのは、君が最初。
 そして多分、君が最後。

 大袈裟ではなくて、君は僕の生きる糧だ。

 君を僕に使わせてくれた神様には、心の底から感謝してる。
 でも、できればもうひとつだけ願ってもいいかな。

 僕の前から、愛する人の姿を消さないで、と。

 僕は僕の一生をかけて、永遠に君を愛し続けると誓うから。

「狂おしいほど恋するお題」より。お題提供:COUNT TEN.


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Precious Things2005年11月15日 チチャ拝。
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